初代格さん役・横内正が明かす『水戸黄門』秘話と知られざる真相
水戸 黄門 横内 正という並びを目にした瞬間、昭和から平成の茶の間を彩ったあの凛々しい格さんの姿が鮮明に立ち上がるファンも多いだろう。日本のテレビ史において絶大な影響力を誇ったお茶の間の金字塔。その黄金期を力強く牽引し、初代「格さん」こと渥美格之進として日本中の視線を釘付けにした俳優・横内正の重厚な演技と凛とした佇まいは、半世紀近くが経過した現在も色あせることはない。
当時の熱気を振り返るとき、水戸 黄門 横内 正が打ち立てた強烈なキャラクター像と劇的なドラマツルギーは欠かせない議論の主題となる。最高視聴率40%超えという異例の数字を叩き出した背景には、過酷な撮影現場での汗と涙、そして若き日の横内が注ぎ込んだ並々ならぬ情熱が存在していた。
初代格さん役・横内正と『水戸黄門』の秘話:撮影裏話と知られざるキャスティングの真相

国民的ヒット作の舞台裏には、常に予期せぬキャスティングのドラマが潜んでいる。『水戸黄門』の初代格さん役抜擢の背後にも、知られざるエピソードが存在していた。当時、新劇の舞台で着実に実績を重ねていた横内正のもとへ舞い込んだオファーは、まさに青天の霹靂だったという。若手演技派としての期待を背負いながらも、伝統ある時代劇の世界へ飛び込むことには大きな苦悩と葛藤が伴っていた。
東映京都撮影所での撮影は、現代のテレビドラマ制作とは比較にならないほど過酷を極めた。フィルム撮影特有の緊張感が漂う現場で、NGは許されない。印籠を突き出すクライマックスシーンの殺陣や立ち振る舞いひとつ取っても、幾度となくやり直しが命じられた。真冬の川に入り込むロケや、真夏の重厚な衣装での殺陣。そこにあったのは、画面越しにも伝わる本物の役者魂だった。後年、横内自身が明かしたところによれば、現場での妥協を一切許さない演出陣との激しい口論もしばしば発生していたという。だからこそ、あの普遍的な面白さと緊迫感が生まれたのだ。
ナショナル劇場の象徴!TBSテレビと株式会社C.A.Lが作り上げた金字塔

月曜夜8時、おなじみの三つ葉葵の紋章とともに流れる主題歌。TBSテレビ系列の「ナショナル劇場」枠で放送された本作は、日本のテレビ文化そのものを決定づけた。番組を手掛けた制作会社である株式会社C.A.Lの細やかなプロデュースワークと、スポンサーである松下電器(現パナソニック)のバックアップが生み出した緻密な番組作りは、現在も業界内で語り草だ。
当時のテレビドラマ制作は、映画制作の熱量とノウハウが色濃く残る過渡期にあった。フィルムの質感、京都の職人たちが手掛けた美術や衣装、妥協のないロケハン。テレビの枠組みを超えたスケール感が、毎週月曜の夜に全国の茶の間へ届けられていたのだ。横内正が演じた格さんは、その堅実で愚直な人柄と圧倒的な強さで、番組の信頼感を支える大黒柱となった。
東野英治郎との師弟関係と『渥美格之進』役に込められた覚悟

初代黄門様を演じた大名優・東野英治郎との出会いは、横内正の役者人生において決定的な転機となった。東野は現場において圧倒的な存在感を放ち、厳しい指導者でありながら、若手俳優たちを温かく見守る父親のような存在でもあった。
「格さん」こと渥美格之進という役柄は、単なるボディガードではない。黄門様の理念を理解し、時にいさめ、時に先陣を切って悪を挫く知勇兼備の武士である。東野英治郎の重厚な演技を受け止め、助さん役との絶妙なコンビネーションを組み立てる作業は、若い横内にとって極めて高いハードルだった。しかし、東野との濃密な演技合戦を通じて、横内は「役に命を吹き込むとはどういうことか」を徹底的に叩き込まれたという。その師弟関係は、カメラが回っていないオフの場でも続き、役作りの深みへと昇華されていった。
日本のテレビドラマ制作史に残る語り継がれるべき時代劇の美学
なぜ昭和の時代劇は、これほどまでに人々の心を捉えて離さないのか。その答えは、単なる勧善懲悪の面白さだけではなく、徹底的に作り込まれた美意識にある。『水戸黄門』が確立したフォーマットは、日本のエンターテインメントにおける一つの到達点と言っても過言ではない。
殺陣の美しさ、言葉遣いの品格、そして登場人物たちが織りなす人間模様。時代劇というジャンルが持つ伝統美を保ちつつ、茶の間が親しみやすい娯楽性へと昇華させた制作陣の熱量。現代のハイスピードなCG主体のコンテンツとは一線を画す、人間の肉体と演技だけで勝負する熱量がそこにはあった。横内正をはじめとする当時のキャスト陣が示した佇まいは、今や日本の伝統芸能的な価値すら帯び始めている。
80代を迎えた2026年現在の横内正:舞台演劇の第一線で放つ唯一無二の輝き
時代は流れ、2026年を迎えた現在も、横内正の表現への情熱が衰えることはない。80代半ばに達した今なお、テレビドラマのみならず舞台演劇の第一線に立ち続け、衰えぬ声量と圧倒的なオーラで観客を魅了し続けている。
近年では自ら舞台の朗読劇やシェイクスピア劇などをプロデュース・出演するなど、時代の変化に応じた新たな表現手法にも積極的に挑んでいる。時代劇で培った深みのある発声と凛とした立ち姿は、現代の劇場空間においても唯一無二の存在感を放つ。「生涯現役」を体現するその姿勢は、当時のファンのみならず、若い世代の演劇人にとっても大きな道しるべとなっているのだ。往年の名作で輝いた名優が、今なお表現の未来を切り拓く姿に、私たちは惜しみない拍手を送り続けたい。 (出典: 水戸 黄門 横内 正(Yahoo!ニュース))